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スプリンクラー屋さんなら業務でこれくらいは持っておきたい本ベスト3
他の記事で消防設備士について書かせて頂いておりますが、
消防設備士試験に合格したからといって安泰かというとそれは少し違います。
実務もこなせて初めて一人前になります。
資格取得後は寧ろ始まりでしかありません。
スプリンクラー屋さんと言っても
配管工事などを行う現場の職人よりの人と
その工事を管理する側の現場代理人よりの人に分かれますが、
どちら側であっても実務的な事は最低限理解しておかなければなりません。
例えば、
ある改修工事で天井内のスプリンクラー配管工事をしていましたが、納まらずに
居室の天井から露出配管施工するしか方法が無い事が分かりました。
天井高さは床面から2.2mだったので配管の吊りしろを加味して
床面から2.1mの高さを配管芯として施工し完了させました。
一見何の問題もないように思われますが、消防検査では一発アウトです。
建築基準法では居室の高さは床面から2.1m以上と決められています。
こういう事例は職人よりの人か現場よりの人のどちらかが法を知っていれば
施工する前に回避できたはずです。
このように消防法と建築基準法は密接に絡み合っており、
どちらも知らなかったでは済まされないので注意したいところです。
私自身も上記のようなミスをしないために、疑問に思ったことや設計者や
監理者に突っ込まれた場合にすぐ調べられるように会社のデスクや仮設事務所等、
帰ってすぐ手が伸ばせる位置に辞書的な役割を持つ『本』を常に置いています。
建築基準法や消防法は中身が本当に辞書で、正直何かいてあるかちょっと良く
分かりません。インデックスが欲しいくらい難解に書かれています。
なので下記で紹介する図解やイメージ図、例などが入った辞書の説明版のような
本を持つことを強くお勧めします。
「オレは頭が良いから法でいいんだ法を学びたいんだ」という方は是非高いお金を
払ってコレクションとして持っておくのは良いと思いますが、実務をこなしながら
となると図解やイメージで理解して行くことが賢明です。
第3位 建築設計耐震設計
2011年の東日本大震災ではマグニチュード8クラスで震度6以上の揺れを
観測しました。
甚大な被害となり津波や多くの人命が失われた事にフォーカスされ
あまり報道やニュースでは伝えられませんでしたが、多くのビルや商業施設で
天井が崩れたり、躯体から取っていた支持金物がアンカーボルトごと配管と共に
脱落、スプリンクラー配管も漏水したため火災時に全く役に立たない事態にと
陥りました。
2014年以降は法改正により耐震に関してかなり厳しくなりました。
建築設備耐震設計2014年版
建築設備耐震設計・施工指針における実務上のポイント 建築設備耐震設計・施工指針2014年版Q&A集_日本建築センター 価格:4,400円 |
上記は設備機器や配管に対する耐震支持の取り方からアンカーボルトの選定、
耐震金物のサイズ等、実務的に押さえるおくべきポイント等が詳しく
書かれています。
Q&A形式の細かい部分に対する考え方や対処の仕方が書かれており
「こんな場合はどうすれば良いか」
がすぐに分かるようになっている点もポイント高いです。
本来は見積や設計者向けに作られているものの実務ですぐに使えます。
この本でとりあえず理解すれば、耐震強度が足りなかったなんて大失敗を
することは無くなります。
第2位 プラント配管ポケットブック
プラント配管ポケットブック
プラント配管ポケットブック第6版 [ プラント配管研究会 ] 価格:3,300円 |
こちらはパイプやフランジ等の継手類に関わる規格・重量・サイズ等が
網羅されたかなり使える本です。
スプリンクラー屋さんにとってはパイプはSGPやSTPG、継手はJIS規格しか
なじみがないかもしれませんが、石油プラント等で使うJPIについても記載が有り
持っていればかなり重宝します。
どういう時に使うかというと、例えば
配管重量や配管容積を出したい場合、使用する配管が1mあたり何Kgの重量で
内径はいくつか分からないと計算もできません。
ネットでも調べれば出てくるのですが、SGPはSGPで1ページ、STPGはSTPGで
1ページ、継手はえっとJFEだったっけ?
ネットで開く窓数がいっぱいになり、間違って閉じてしまったりすれば再度
検索しなおして表示する必要があるので、やはり手元にハンドブックがあれば
何かと便利です。
さらに実務をこなしていると、あれー?350AのJISフランジってボルト穴何か所
あったっけ?ちなみにサイズと長さいくつだっけ??
芯芯400の配管2本並行させて同じ位置にフランジ入れたら当たらない??等の
現場で起こる様々な疑問はこの本でスピーディーに解決します。
持ってない方は是非とも手に入れたい本ですね。
第1位 建築消防advice
建築消防advice2022
価格:5,390円 |
第2位にランクインしたプラントポケット配管ブックと迷いましたが
今回の記事はスプリンクラー屋さんが持つべき本なので
建築消防adviceが1位です。
この本は消防法を知らない建築士や設計士のために作られたように見受けられます
が、スプリンクラー屋さんにとっても必需品です。
建物に対するスプリンクラーの設置義務は建物の面積や階数によって異なりますが
この本ではそれが用途別の表になっていて一目瞭然となっております。
さらにはスプリンクラーヘッドの配管口径による個数は、スプリンクラー屋さん
であれば九九のように覚えてなければいけませんが、そういった技術的な内容も
網羅されています。
ちなみに
25Aで2個
32Aで3個
40Aで5個
50Aで10個
65A以上は何個でも(※横浜市や新潟市は65Aで20個までとなっています)
自治体によっては条例でさらに厳しい基準が設けられている場合があるので
そちらは自治体の技術基準の確認が必要になります。
なので25Aの配管から3個とった時点でアウトです。
消防法違反で消防設備士の点数が減点されます。
もし、25Aで3個とっている場所から火災が起きて有効に散水できない等の
原因によって死傷者が出た場合は、工事をした消防設備士が逮捕・起訴されます。
ひと昔前であれば逮捕されるのはそれを設計した設計者や監理者、消防設備士が
在籍していた会社の社長でしたが、法改正を重ね2022年現在はすべての責任は
消防設備士に降りかかる事になっています。
なので絶対に失敗してはいけないですし、知らなかったと言い逃れもできません。
上司に教えてもらってやったことでも責任は己自身です。
信用できるのは客先でもなく会社でもなく先輩上司でもなく自分しかいない訳で
今回ご紹介した本が正しい判断を下すために背中を押してくれる頼もしい
存在となる事を実感していただけるかと思います。
失敗しない消防設備士Lifeを一緒に送りましょう!