建物の竣工時に必ず実施されるのが
「消防検査」です。
11階建ての建物ならば必ずスプリンクラーが
設置されるはずです。
検査はだいたい
・建築1班
・建築2班
・警報・電気班
・消火班
の4班体制に分かれて実施され
届出書類確認→外観検査→機能検査
の流れで検査が進められます。
検査消防官に
『スプリンクラーヘッドの法的離隔が取れてない』
という指摘はどこの現場でもよく出る指摘事項の
ひとつですが、
消防官の言われるがまま指摘された内容を記録して
是正前と是正後の写真を記録したり、
建築へ天井解体や復旧の依頼や
是正報告書を纏めたりと
手間も暇もお金もかかります。
指摘の被害を最小限に食い止める方法がある
としたらどんな対処のしかたがあるのかを
まとめたいと思います。
Contents
スプリンクラーヘッド離隔の消防指摘をもらった時の対処法とは?
壁からの離隔を指摘された場合
まず、壁からの離隔(0・3m)が取れていない場合は
これはもう諦めるしかありません。
壁からスプリンクラーヘッドまでの離隔は
0.3m以上と決まっているので
設計時からなるべく壁に近いような配置を
避ける事が賢明です。
だいたいこの指摘をもらう時って
設計変更などで間仕切壁の位置が変わっていて
それに気づかなかったパターンが多いです。
責任の落としどころとしては
勝手に壁を動かした建築になるのか
設計変更に気づかない設備になるのか
の2択になると思います。
他設備器具からの離隔を指摘された場合
例えば電気設備のダウンライトや感知器
空調のエアコンなどの場合はいくつか対処法が
あります。
①他設備に移設を依頼する
スプリンクラーヘッドはダウンライトや感知器
のように天井が仕上がってから取り付けられる
器具ではありません。
天井が仕上がる前の工程で天井下地へ
ヘッド固定しているので急な変更には
対応できない上に、
ヘッドの警戒円の事を考えると
簡単には移設できない事が多いです。
よって天井の補修は出ますが
相手がダウンライトや感知器なら
移設をお願いしたほうが被害が少ないです。
②天井から器具が出ている分ヘッドを下げる
スプリンクラーヘッドから水平距離で0.3m
垂直距離で0.45mの空間には何も設けられては
いけない。
東京都予防事務審査・検査基準Ⅱより
例えば写真のように天井から0.1m出る感知器と
スプリンクラーヘッドまでの水平距離が0.2m
であった場合は上記の通りアウトですが、
スプリンクラーヘッドの設置基準の中に
天井面から0.3m以内に取り付ける事。
とあります。
考え方を変えるとスプリンクラーヘッドは
天井面から30㎝出しても良いという事になり、
上記の場合、感知器が出てくる天井から
10センチのところまでヘッドを下げれば
水平距離0.3m垂直距離0.45m確保できます。
ただしこの技を使うにあたって
条件があります。
天井からヘッドが下がれば意匠的に
ダメだろ!と意匠設計者からNGをくらう
可能性があるので、
いいですよね?と説明したうえで
納得してもらってからのほうが良いです。
意匠的には嫌がられますが
この技を使えば是正するコストを
最小限に抑える事ができるはずです。
スプリンクラーヘッドの配置の段階から関わる事ができる場合は、
上記記事のような意匠設計者からの要望をどう受け止めるかが
重要なカギを握っています。
※この記事作成日は2020年5月15日です。
この記事をご覧いただく日があまりにも
かけ離れている場合、消防法改正等により
状況が変化している可能性があります事を
ご承知願います。